2008年12月9日火曜日

Newsweekより①教育をはかる指標


12月10日のNewsweekの特集記事によると、ユニセフが07年2月に発表した先進21カ国の子どもの幸福度調査で、オランダが1位に選ばれたということです。

どうやらその勝因は、様々な指標のバランスのよさ、子ども自身の満足度の高さが大きいようです。

学校設備、家族との関係性、健康、いじめ対策などでどれもそつなく上位をマークしている上に、生徒自身の学校への満足度が高い、とのこと。

そしてそれをもたらす要因として、子どもをユニークな存在として尊重する姿勢、社会の一員としての責任感の涵養、落第ありの学校制度、自転車文化、静かな環境づくりを重視する育児法など様々なものが挙げられています。

日本はこの調査に載っていません。統計データが足りなかったということです。

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この指標の持つ意味は大いにあると思います。PISAと同じで、唯一の指標に頼って教育の方針を決めていく危険性を考えれば、このような指標は存在する意味があると思うのです。その点から言って、気になるのは日本のデータが採られていない、ということです。

思うに、教育はもっともデータによるフィードバックに立ち遅れている分野だと思います。
教育のシンポジウムなどがあったとしても、結局は共演者の教育観を語って終わり、というのが多い。
そこに教育をめぐる摩擦は見られないし、個人の教育観は結局大きな影響を及ぼすことはない。
そのように、「俺の教育観はこうだ」とか「あなたの考えにはここが足りていない」とか、前進する兆しのない議論に陥っていると思うのです。

教育、という、至って人間的な営みを指標化するのはものすごく難しいことでしょう。
僕も完全には指標化はできないと思っています。
しかし、このようなものがない限りは、教育について立場、意見を異にする人たちが、同じ目線に立って議論することはできないのではないかと思います。
お互いが、実証もされないような理論をぶつけ合っても堂々巡りなので。


*まとめ
大変綿密に計画されて実施したデータによる指標、そこからフィードバックを得ることを教育分野はもっとやっていくべきではないか。もちろんそのデータを正確に、冷静に読み取る能力は必要である。
さもないと、決して交わらない教育論議が、イデオロギーやその場の雰囲気によって取捨選択されかねない。

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