先日、サークル活動の一環である小学校を訪問してきました。
横浜市立いちょう小学校、という学校をご存知でしょうか。
横浜市の西端、大和市との境目にある「いちょう団地」、そこを学区とする学校で、
80年代には生徒数2000名にもなるマンモス校だったのですが、現在では200名程度の小さな学校になっています。
しかし、この小学校の最大の特徴はそこではありません。
この学校は生徒の約半数が、「外国につながる生徒」で構成されているのです。
「外国につながる」というのは、外国籍の生徒に加え、日本国籍を持つものの、生まれのルーツが外国にある生徒(中国残留孤児や、ベトナムのボートピープルの子孫など)も含めてそれらの生徒を指す言葉です。この学校には、日本人、ベトナム人、中国人、バングラデシュ人、ラオス人、ブラジル人など多彩な生徒が在籍しています。
この日はある授業で寸劇を見学したのですが、黒板に書いてある役割分担を見ると、カタカナの名前がたくさん出てきます。お母さん役:ビエンちゃん、といった風です。
しかし、ほとんどの子がアジア系なので、見た目にはどの子が外国につながる子か、というのは分かりません。授業も至って普通に(普通というのは自分の学校体験から見て、です)展開されていきます。日本語の面でも、一部の子をのぞいては苦労している様子も見られません。
しかしその後先生にお話を伺ったところ、様々な問題があることが分かってきました。
まず、言語には日常会話とは違う、「学習言語」なるものが存在します。日常会話は難なくこなすことができても、授業やテストにおいて、抽象的な概念や難しい言葉が出てくるととたんに理解が難しくなります。このような要因や、親の教育にかけるリソースが不足していること(たいていの親は低賃金・保険未加入での労働を余儀なくされています)などから、この学校の成績は概して良くありません。
さらに深刻な問題が、自分のルーツとの断絶です。
子どもたちはさすがに吸収が早く、日本語もすぐにしゃべれるようになると言います。
しかし、それとは逆に、母国語を急速に忘れていきます。それがすなわちどういうことを意味するかというと、「親と会話ができなくなる」ということです。またさらに、日本生まれの子などは特に、日本の給食やコンビニなどに慣れ親しむことで、「味覚の断絶」が起こるといいます。親の作った郷土料理を食べられなくなるのです。このようなことから、家に帰るのがおっくうになり、その他の以上全ての要因とも絡み合い、徘徊や非行に走る少年少女が生まれてしまうのだといいます。
このように、教科指導、受験指導を中心としている教育では対応できない様々な問題が学校に噴出しつつあります。しかもこのことはもはや人ごとではありません。このように学校に外国人児童が入ってくることはもはや全国どこでも珍しいことではないのです。
さらにいえば学校だけに限りません。これから皆さんも職場で、海外からの労働者と関わることも出てくることと思います。
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